失業保険を病気やケガで貰えないときは傷病手当を請求!

失業保険の受給手続き後に、病気やケガにより15日以上働くことができなくなった場合は失業保険が受給できない代わりに傷病手当を貰うことができます。30日以上の場合は失業保険の受給を延長することもできます。

病気やケガで働けなくなったら失業保険はストップ!?

失業保険がストップ

まずは失業保険を受給するための条件をおさらい。

  • 雇用保険の加入期間が1年以上ある(会社都合退職は6ヶ月以上)
  • 働く意思と能力がある

失業保険の受給中に病気やケガを負い働くことができなくなった場合は、失業保険を受給するための条件「2.働く意思と能力がある」を満たさないことになってしまいます。

失業保険の受給資格を持っていても、この時点で支給はストップしてしまいます。失業保険の目的は「再就職するまでの生活支援」ですので、再就職しない(できない)人は失業保険をもらうことはできないのです。

しかし病気やケガのように、意図してそうなったわけではないのに、「働けなくなったなら失業保険はストップします」ではあまりに酷です。

そこで登場するのが「傷病手当」。病気やケガで働けなくなった場合は、その期間によっては傷病手当を受け取ることができます。



療養期間が14日以内なら失業保険継続。15日以上なら傷病手当

まず、病気やケガで働けなくなっても、その治療期間が14日以内なら今まで通り失業保険の基本手当が支給されます。この場合は特に手続きなども必要ありません。

次に治療期間が15日以上になる場合は、ハローワークで所定の手続きを行うことにより、失業保険の支給はストップしますが、代わりに傷病手当が支給されるようになります。手続き方法や受給金額については後述します。

なお、治療期間が30日以上になる場合は、ハローワークに申し出ることによって、失業保険の受給を最大4年間まで延長することができます。その場合はハローワークに「受給期間延長申請書」を提出します。


傷病手当の受給手続きはハローワークで

傷病手当の受給手続きは、傷病が治癒した直後の失業認定日までにハローワークで手続きすることになっています。

手続きに必要なものは次の通りです。

  • 傷病手当支給申請書
  • 雇用保険受給資格者証

傷病手当支給申請書はこのような書類です。



傷病手当を受給する期間の記入と、診療担当者(医師)の証明などが必要になります。

病気やケガが治癒したら、最初の失業認定日までにこの書類を作成し、ハローワークに提出します。提出は代理人でも大丈夫です(その場合は委任状が必要)。

なお、治療中に失業認定日が重なり、どうしてもハローワークに行くことができない場合は、事前に連絡することで認定日を遅らせることができます。



傷病手当の日額は、失業保険の日額より高い?低い?

傷病手当は、失業保険の基本日額に替えて支給されるものなので、金額が変わることはありません。



社会保険の「傷病手当金」とはなにが違うの?

「傷病手当」というと、社会保険の「傷病手当金」と間違いがちですが、この2つは全くの別物です。

社会保険の傷病手当金は、協会けんぽ、または大企業などが加入する社会保険組合が運営する健康保険制度から支出されるものです。ここでいう傷病手当は、失業保険と同じで雇用保険から拠出されるものです。

なお、この2つの傷病手当は同時に受け取ることができません。もし雇用保険の傷病手当を受給しようとするときは、間違って同時に社会保険の傷病手当金を請求しないように注意しましょう。



まとめ

病気やケガは予期せずに起こりうるものです。失業保険を受給しながら再就職活動を行っている人にとっては、その活動を一旦ストップしなくてはなりません。そのうえ失業保険の支給までストップしてしまっては敵いません。

傷病手当はそんな人たちをサポートする制度です。日額も同じように支給されます。

不幸にもこのような状態になったら、きっちり傷病手当を申請しましょう。

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